手術・治療案内 日帰り硝子体手術

硝子体手術とは

図:硝子体手術の方法(提供:参天製薬)硝子体手術は、網膜上にある出血や増殖組織などを含めて病的な硝子体を切除する手術です。眼内に水を入れる器具(インフュージョンカニューラ)を留置して、光を入れる器具(眼内ファイバー)で眼内を照らしながら、硝子体などを細かく切りながら切除するための器具(硝子体カッター)を主に使用して、手術を行います。黄班部網膜上に増殖膜(黄班前膜)が存在すれば、特殊なセッシ(硝子体セッシ)で剥離除去します。
近年は、黄斑円孔などの手術成績向上のため、網膜上の正常組織である内境界膜ごと残存硝子体膜を剥離(内境界膜剥離術)する手技も行われるようになってきております。網膜剥離があれば、インフュージョンカニューラから空気を注入し、ストローのような器具(フルートニードル)から眼内の水を除去し、眼内を空気に置換(液空気置換)して網膜を進展させます。そのままでは、網膜は剥がれ易いため、レーザー光線がでる器具(眼内レーザー)で網膜を凝固(網膜光凝固術)して網膜の下にある組織である色素上皮細胞層と癒着させます。網膜の癒着を完全にするために、手術終了後よりうつむきなどの一定の姿勢を行うことが重要です。また、網膜浮腫の軽減や新生血管の発生予防目的のため、網膜光凝固術を網膜全体にまばらに行う場合もあります。

極小切開硝子体手術とは

写真:硝子体手術装置
硝子体手術装置
世界で最も普及しており、非常に使い勝手がよく、信頼性の高い硝子体手術機器アキュラスの最新バージョンです。

従来は、20ゲージ(直径約1mm)の大きさの器具で行われる硝子体手術のみでしたが、近年25ゲージ(直径約0.5mm)や23ゲージ(直径約0.7mm)のより小さな切開創より硝子体手術ができる器具が開発されました。
硝子体カッターや眼内ファイバーを挿入するための器具(トロカール)を留置して器具の出し入れすることにより、切開創の痛みが大幅に減少してほとんど縫合する必要もなくなったため、術後の異物感が大幅に緩和されました。20ゲージに比較して切除効率が劣るなどのデメリットもありますが、専用器具で短時間に切開創を作成でき、ほとんど無縫合で終了できるため、最終的な手術時間の差は少なくなりました。現在、全世界で普及しており、従来の20ゲージ硝子体手術はほとんど行われなくなってきました。

25と23ゲージ硝子体手術の違いは

ゲージは、円形の器具の大きさを示す単位であり、数字が大きくなるほど直径が小さくなり、器具が小さくなります。25ゲージは、直径約0.5mmで23ゲージは直径約0.7mmの大きさになります。小切開創だけを考えれば、23より25ゲージは切開創が小さく、手術侵襲が小さく優れた手術と考えられますが、硝子体手術として考えるとそうとも言えません。なぜなら、硝子体手術は、切開創に器具を挿入して、その器具を通して、眼内の硝子体などを切除することが主目的の手術のため、器具が小さくなるほど作業効率は落ちてしまい、手術時間が長くなってしまいます。一般に外科手術では手術時間が長くなると手術侵襲が増加します。そのため、切開創を含め手術による眼球全体のダメージを考え、疾患に合わせ手術方法を選択することが重要と思われます。

広角眼底観察システムとは

広角眼底システム
写真:広角眼底システムツァイス社製リサイトです。非常に使い勝手がよく、近年最も評価されている広角眼底システムです。

傾像で観察した眼底をインバーターという器械を使用して映像を反転して正像で観察する方法です。従来までの硝子体コンタクトレンズを角膜上に乗せて直像で眼底を観察する方法と比較して、広い視野で観察することが出来るメリットがあるため、急速に普及しています。ただし、従来の硝子体コンタクトレンズで観察した場合と比較して立体視が悪いといったデメリットも有るため、繊細な手術には向かないと考えられます。

内視鏡硝子体手術とは

眼内視鏡
日本のファイバーテック社製の眼内視鏡を使用しております。世界で唯一の25ゲージ内視鏡を発売しております。(2012年6月)
写真:眼内視鏡
 

通常硝子体手術は、眼内ファイバーの光で照らされた対象物から反射する光を水晶体、虹彩、角膜を通して角膜上のレンズに結像させ、その像を顕微鏡で観察して手術(顕微鏡硝子体手術)を行います。目には眼内に入る光の量を調整する虹彩があるため、虹彩の広がり具合、すなわち瞳孔の大きさで観察できる範囲が変化します。しかしどんなに瞳孔が大きくなっても、網膜の最周辺部や虹彩の裏面は観察することはできません。また、手術中に、角膜が混濁したり、瞳孔が小さくなったり(縮瞳)、眼内レンズに水滴が付き曇ったり(結露)すると眼底の観察が難しくなることがあります。虹彩を広げる器具や、眼内レンズに粘弾性物質をコーティングすることである程度観察できるようになりますが、手術侵襲が強くなり、手術時間も長くなります。
内視鏡硝子体手術は、胃内視鏡と同じようにファイバーを通して対象物をモニターで観察する眼科用の内視鏡(眼内視鏡)を利用して行う硝子体手術です。眼内視鏡は、眼内に挿入した内視鏡ファイバーを通して眼内を観察するため、先に述べたような角膜混濁、縮瞳、眼内レンズの結露などの悪条件でも観察ができるため、特別な処置をしなくとも手術は可能です。
2012年からは、高度の角膜混濁あるいは裂傷などにより眼底の透見が困難な網膜硝子体疾患の手術において新たに保険収載されるようになり、内視鏡硝子体手術の有効性が認められました。顕微鏡硝子体手術と比較して習得が難しいため普及が進んでいませんでしたが、今後内視鏡硝子体手術は普及するともの思われます。

 

非球面硝子体コンタクトレンズ
写真:非球面硝子体コンタクトレンズ近年、黄班円孔などの黄班疾患では内境界膜剥離術が重要視されております。しかし、内境界膜は非常に繊細な組織で観察が困難なため、その剥離術の習得は難しい手技とされております。
通常の硝子体コンタクトレンズでは、内境界膜が観察できないため、内境界膜剥離術ができないこともあります。内境界膜を観察できるように解像度を向上させために光学シミュレーションを利用して独自に設計した非球面硝子体コンタクトレンズで、より正確な内境界膜剥離術が可能になります。

当院の硝子体手術のメリット

1. 日帰り硝子体手術
硝子体手術は、アメリカ、ニューヨーク市のマンハッタン島の中心にあるManhattan Eye, Ear and Throat Hospital やVitreous Retina Macula consult of New Yorkの留学経験(1998-1999年)を生かし、アメリカではすでに普及していた日帰り硝子体手術を2002年2月より導入して、2012年5月時点で合計約833件となりました。私たちが日帰り硝子体手術を始めた当初は、わが国では余りなじみがありませんでしたが、近年普及しております。
2. 安全で確実な観察システム

手術成功のカギは、術野をいかに確保できるかです。どんな名人の術者であっても術野が観察できなければ、その能力を発揮することは困難です。硝子体手術では、良好な眼内観察が手術成績のカギを握っているといっても過言ではありません。
眼内を観察する方法は、①硝子体コンタクトレンズ②広角眼底システム③眼内視鏡があります。①は、従来から行われてきた観察方法ですが、特に内境界膜剥離などの繊細な手術に向いています。ただし、通常の硝子体コンタクトレンズで内境界膜が観察できないこともあり、当院では、独自に設計した非球面硝子体コンタクトレンズを使用することもあります。②は広い視野で観察できるため、網膜剥離など疾患の全体像を把握ながら手術する時に便利です。また、眼底の中央部から周辺部の観察に向いています。③は①②では観察できない網膜の最周辺部や虹彩の裏面などの観察ができます。特に、手術中の角膜混濁や縮瞳、眼内レンズの結露などで①②の方法では眼底の観察が困難な時にでも観察できるため、安全な手術が可能です。
当院では、すべての観察システムが備わっているため、どのような状態であっても観察ができ、安全確実な手術が可能です。

3. 疾患に合わせた極小切開硝子体手術
当院では、黄班疾患などの周辺部硝子体切除をほとんど必要ない疾患では25あるいは23ゲージで、周辺部に残存する出血や網膜牽引のもとになる硝子体などを確実に切除する必要がある増殖性糖尿病網膜症などの複雑な疾患では23ゲージで、硝子体手術を行っております。

注意)ほとんどの網膜硝子体黄斑疾患で「日帰り硝子体手術」が可能ですが、一部の重症疾患などでは独立行政法人地域医療機能推進機構 中京病院への入院をお勧めすることもあります。詳しくは、当院の医師またはスタッフへご相談下さい。

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